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親不知の抜歯 左上編 2 

2014.02.06Thu 12:48

鼻と口の部分のみが中央の穴から出て外から干渉できるようになるドーナツ型の黄色いタオルを被せられた無抵抗状態の私と、真面目で優しいがやや声が小さめで弱々しい歯医者さんによる、抜く抜かないの静かな押し問答タイムと同じくらいの時間をようして抜歯は終わった。
口腔外科の歯医者さんが、10月に右の親不知を上下一気に抜き去ったときは、上の親不知についてはほぼ手術の動きを感知できないままに抜歯が終わったが、今回はそうはいかなかった。
まず麻酔のための麻酔が効いてきたころ、歯を抜くための針の麻酔を二回刺された。おそらく右の親不知よりも奥まっていたのかと思う。
で、特に二回目がやっぱり嫌だった。
もちろん我慢できないほどの痛みではないけれど、じっとり刺される感覚がなんだか嫌な感じなのだ。
そしてその後、抜歯が始まる。
抜歯というけど、感覚的には抜歯には思えない。
一番端の奥歯の側面に器具をセットして、歯が並ぶ方向に思いっきり押されているだけとしか思えない。
親不知の抜歯だとわかっていなければ、「歯のドミノしようぜ! うおおおお!」 って言って力任せに押し倒そうとしていると勘違いするに違いない。
そしてたまーに、ガリッ!っとやばい音がする。
危うく「先生、何か間違ってません? いまガリッていいましたけど。」と指摘しそうになる。
身体を伸ばしたときに服が小さくてビリっていって破けた時みたいな感じだ。
いやいやいやいや! 今あれでしょ! ドミノでしょ! 間違ってやりすぎてるっしょ!!
と本気で思ったが、おそらくそっちの方が実際に抜歯だったのだろう。
「あ…もう抜けてますんで…」と先生が小さく言う。が、その後もしばらく作業は続いて微妙なリアクションをしてしまう。
歯科衛生士さんも明るく「はーい、もうちゃんと抜けましたからねー」って励ましたくれる。
この人ほんといい人だ。

私の口腔内から本日付けで異動になった左上の親不知さんは、噛むところが一面真っ黒だった。
虫歯とはわかっていたが、これを見るとまあ酷いものだ。
こんな悪いものが身体からいなくなったわけだから、これはかなりの断捨離に違いない。

会社に戻ってから、仕事を続行したが、やはりいまいちグロッキーな気分が邪魔をして、集中力が落ちてしまった。
さっき聞いた話も忘れてしまうので、こりゃいかん。
こりゃ仕事を別の人に移管しないと、イカン!と会社の中心で叫びたくなるほどの気のそぞろさだったので、やっぱり忙しいときの親不知抜歯はお勧めしない。
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親不知の抜歯 左上編 1 

2014.02.05Wed 00:32

先日、おカフェにてお茶をしていた時、「そういえばもう歯は大丈夫なの?」と不意に友人に聞かれて、10月に抜歯した親不知のことを思い出した。
大丈夫も何も忘れていたくらいなので、その後、全く問題はない。
跡地にぽっかり空いた穴もだいぶん塞がってきた。完全に塞がるには半年以上かかるという話もネットで見たけれど、お陰様でもう食べ物が落ちなくなってからは穴が空いていることに支障がないため、完全に塞がらなくても構わないかなくらいの心持ちである。
右の上下の親不知については今後何も悩む必要がなくなったが、左の上下の親不知はいつか抜きたい。何度も痛い思いをするのが嫌なので、右の時と同じように上下同時に抜いてその後しばらくは安静にできる時間があるのが理想なので、時間があるときまた抜こう、とそんな未来を思い描いていました。

そうそう、左の親不知ね…。

そう意識したその後しばらくしてから、左の親不知がおわす位置がなんだか痛くなった。
右の時と同じで、汚れが取りきれなくて腫れて大きくなったところに上の親不知が刺さって余計に腫れて噛むたび痛い、という症状のようだった。
しかし右の時は、痛くて噛めずほぼ口が閉められない状態で歯医者に罹り、「下の親不知を抜かねばならないが口腔外科の先生じゃないと抜けないため、それは後日。とりあえず今は腫れを抑える薬を塗るので、それで口は閉じます」と言われて、ぴしゃっ!っと薬をかけられて一旦終わり。その後は問題なく過ごし「親不知なんてあったっけ」なんて思っていたころに抜いた。
なので今回もその、ぴしゃっ!ってやつを一発やってもらって、また後日抜く手はずにしてもらえればいい。
なんせ仕事が忙しくて起きてる時間はほぼ仕事してるので、親不知を抜くメンタルがない。とにかく食べることしか楽しみがないのに、その楽しみまで奪われて辛いのだ!
仕事に区切りがついた頃、軽い気持ちで歯医者に行った。

が、予想は多いに裏切られた。

まずいつもの、大柄で面白い歯科衛生士さんに診てもらう。
「結構腫れてるね、そして一度噛んでるね、患部が茶色くなってる」
たいして痛くないのだがそれなりに腫れてるらしい。そして腫れた部分に、突き刺さった上の親知らずの歯型がくっきり残っているらしい。
歯医者さんがやってくる。
「これは上の歯が刺さってるのが悪いので、上を削るか抜歯した方がいいですね……抜歯はすぐ終わるので…」
と説明されるも、「まあとりあえず今日は薬をかけてもらって後日抜くんだよな…」と完全に思い込んでいたため、話半分でふんふん聞く。
「それで、抜歯してよいですか?」
と突然聞かれて驚く。
「え?今ですか?」動揺する私。
「い、いや今仕事中でして…すぐ戻らねばならず……」
「上なので痛みもあまりなく、3分くらいで抜けます…」
「えっえっ、いやでも抜歯ってそんな急に…」
動揺していると、歯科助手さんが相変わらずの楽しい感じで「あはは! ちょっと急でびっくりしちゃったよね! 上だから仕事もすぐできるよ!」と諭してくれ、「く、薬を塗ってもらうよりそっちの方がいいなら…」ってことで抜歯を決意したのであった。
抜歯するのは別に構わないし、上の親不知の抜歯はたいして痛くないことはわかっていたのだが、心の準備が出来ていないことが怖い。
まあ心の準備があろうとなかろうと痛みに差異はないんだから、それならこういう唐突のタイミングの方が、杞憂のストレスが減って、いいっちゃあいいのだけれど。
私は麻酔の針の痛みが嫌いだ。
麻酔の針を刺す前に、麻酔用の麻酔があるけれど、やっぱりグイッと来るあの針の気持ち悪さが一番嫌だ。

麻酔のための麻酔…
ダブル麻酔…

ダブル麻酔とダブル松井は似ている…
とくだらないことしか考えられないくらい脳の多くの部分が省エネモードに入っていった。

続く

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プロフィール

シラサキマイ

グラフィックデザイナー http://www.strikingly.com/srskmy

昨夜未明というバンドをやっていました。


http://sakuyamimei.jugem.jp



昨(今)夜未明のカヴァー「ノンストップジェットコースター」
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